化学科の関根教授が「皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」で基調講演しました

化学科の関根嘉香教授が11月17日に、東京都・銀座ユニーク貸会議室 7丁目店で開催された「皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」で基調講演しました。本セミナーは、関根教授が代表を務める「皮膚ガス研究会」が主催し、最前線で研究を続ける企業関係者らが互いの成果を共有してさらなる創発につなげようと初めて主催したものです。

当日は、約150名が聴講。まず関根教授が「皮膚ガスは非常に微量な生体ガスで、長年にわたって体臭の原因として研究が進められてきました。一方、近年の分析技術の進歩によって実態が徐々に判明し、身体的・生理的状態、疫病の有無、生活環境や生活行為に関連することがわかってきました。皮膚ガスの組成は人によって異なり、双子の兄弟を分析してみると、多くの点で似た部分もありましたが、行動様式による違いも見られます」と説明。さらに、成分の一つであるアンモニアの放散量が心理的ストレスや腸内環境、交感神経・副交感神経の動きとも深く関わっている点をデータで示し、「皮膚ガスは単なる臭いの原因だけでなく、“体と心からのメッセージ”でもあります。これからも多くの企業・研究者と連携して、健康・未病管理、疾病の予防・治療につながる生体情報としての活用法を探っていきたい」と結びました。その後は企業・自治体の研究者がそれぞれの成果を発表し、活発な議論が展開されました。

当日のセミナー内容は下記の通りです。

基調講演「皮膚ガスを情報として活用する」

理学部化学科 関根嘉香教授

「客観指標を用いた高ストレス者の早期把握 ~皮膚ガスによるストレス蓄積予兆検知~」

株式会社アイシン先進開発部 山口秀明氏

「皮膚ガスを指標とする『みどり』のストレス軽減効果等に関する調査研究~データに基づき『みどり』の価値を情報発信!~」

川崎市環境総合研究所都市環境研究担当 鶴見賢治氏

「リストバンド型アンモニアパッシブインジケータ CID-3Fの紹介と測定事例」

株式会社ガステック技術部開発1グループ 中川脩氏

「天然食品素材から生まれた消臭素材 ‘DEOATAK®P1’ 摂取による皮膚ガス制御効果について」

高砂香料工業株式会社研究開発本部 大田黒晴樹氏

「腸内環境の改善と皮膚ガスの変化 ~ラクチュロースの摂取が皮膚ガスに及ぼす影響~」

森永乳業株式会社研究本部素材応用研究所バイオプロセス研究室 境洋平氏

「女性の月経周期および月経前症候群と関連する皮膚ガスの同定」

キリンホールディングス株式会社キリン中央研究所 藤井敏雄氏

<展示>高崎市、三菱ケミカル株式会社