タンパク質を正しく折りたたむ“化学触媒”を創る ―三神瑠美さん(総合理工学研究科)博士論文公聴会を開催―
2025年12月18日に、化学科・荒井研究室の三神瑠美さん(2021年度化学科卒)が、「酸化的フォールディングを含む生体関連酸化還元反応を促進する環状ジセレニド触媒の開発と応用」と題した博士論文公聴会を行いました。タンパク質は正しい立体構造に折りたたまれることで初めて本来の機能を発揮しますが、その構造形成過程は非常に繊細で、誤った折り畳みや凝集が生じやすいことが知られています。本研究は、こうした難しいフォールディング過程を、酵素に頼ることなく人工分子の力で制御することを目指したものです。

三神さんは、セレン元素を含む環状ジセレニド分子を設計・合成し、それらがタンパク質の酸化的フォールディングや生体関連酸化還元反応を効率よく促進する触媒として機能することを明らかにしました。従来は酵素が担ってきた反応を、低分子触媒によって再現・制御できる可能性を示した点は、基礎化学と生命科学をつなぐ新しいアプローチとして高く評価されます。分子設計、反応機構の解析、生細胞への応用までを一貫して行った本研究は、化学の視点から生命現象に迫る意義深い成果といえます。
指導教員の荒井准教授は、「分子レベルの設計思想に基づき、酸化的フォールディングという難易度の高い課題に真正面から取り組んだ成果です。人工分子によるフォールディング制御という新しい概念を示す成果であり、今後の発展が期待されます」とコメントしています。
タンパク質の働きを支える“見えない反応”を、化学の力でデザインする。化学科では、分子レベルの理解から生命現象に迫る研究が日々行われています。「化学で何ができるのか?」その答えの一つが、東海大学理学部化学科にあります。


