箱根山を化学的に“健康診断”しています

化学科の大場研究室では毎月,箱根山を調査しています.具体的には地熱地帯の大涌谷(写真1:2022/2/8)や上湯場(写真2:2022/2/8)で,火山ガスを採取し,研究室に持ち帰り,化学組成や安定同位体(H2Oに含まれる重水素や重酸素のこと)を分析しています.

これまでの大場研の研究により,箱根山のマグマが活発になると,火山ガスに含まれる二酸化炭素(CO2),ヘリウム(He),重水素(D),重酸素(18O)の濃度が増加することが分かりました.そのため,火山ガスをモニタリングすることにより,箱根山が噴火するか否か判断することが,将来は可能になると考えています.
火山ガスの研究に基づき,活火山の内部で起きている現象を推定することは,大変興味深い研究テーマです.研究成果は,日本火山学会,日本地球惑星科学会などで発表し,国際誌に研究論文として掲載されています.また,研究の成果は火山防災を通じて社会に貢献しています.大場研究室の学生たちは,やりがいを感じて研究に取り組んでいます.

大場研の活動は,神奈川新聞のwebサイト「カナロコ」に数多く紹介されています.
カナロコ:https://www.kanaloco.jp/limited
カナロコのサイトで「箱根 東海大」を入力し検索してみてください.

火山ガスと水蒸気噴火に関する詳しい情報を知るためには,以下のリンクからダウンロードできる論文をご覧ください.
https://doi.org/10.20665/kakyoshi.68.5_204

大場武 理学部化学科 教授

写真1 大涌谷2022年2月8日

写真2 上湯場2022年