近年、2価の硫黄原子と酸素原子や窒素原子といったヘテロ原子との間の非共有結合性相互作用(S···X相互作用)がタンパク質の立体構造を安定化し、その生物学的機能や分子進化とも関連していることが明らかにされています。相互作用している硫黄原子とヘテロ原子(X)の周りの配位空間を詳しく調べてみると、この相互作用はカルコゲン結合(水素結合やハロゲン結合の類義語)と呼ぶこともできることがわかりました。我々は、このような相互作用の特徴付けをすることで、この弱い相互作用がタンパク質の3次元立体構造の形成にどのように関わっているのかを明らかにしようと考えています。