担当授業(大学院・学部)
地球環境化学 (秋学期開講:全15回)

 この授業は理学部化学科3年次生向けに開講します。「地球環境化学」を英語に直すとGlobal Environmental Chemistry」。つまりこの授業では、地球規模の環境問題を化学的な視点から考えていきます。環境の破壊とは、地球や生態系、生活空間において物質間で保たれていた微妙なバランスが人為的に乱されてしまった状態といえます。この乱れ具合を解明することが環境問題を解決する第一歩となります。この授業では、環境問題に関する最新情報を織り交ぜながら、地球温暖化、オゾン層破壊、大気汚染と酸性雨、化学物質、エネルギー資源、ライフスタイル、グリーンケミストリーなどについて解説します。物質的な豊かさを保ちながら環境にも優しい社会を実現するために、ひとりひとりが何をすればよいのか?を一緒に考えましょう。Think globally, act locally as a scientist!参考書:授業中に適宜ご紹介します。

品質管理概論(春学期開講:全15回)

 この授業は理学部化学科4年次生向けに開講します。良い品を大量にかつ安定に供給するには、統計的手法に基づく品質管理が必要です。本講義では、品質管理に必要な統計学を学び、特に化学の実験データの整理、解析にも応用できる能力を身につけることを目標とします。データの管理方法として、ヒストグラム、パレート図、散布図の描き方および解読の仕方を学びます。次に正規分布によるデータの整理方法を学び、データの代表値やばらつきの表現方法を学びます。次にサンプリングの概念と標本(サンプル)から母集団の特性を推定する方法を学び、さらにデータの有効性を検定する方法としてQ検定やt検定を学びます。また2変量間の相関と回帰に関する概念、分散分析、多変量解析にも触れます。さらに品質管理の実際例として、品質管理に関する国際規格、法令を紹介し、また実業界から外部講師をお招きし、実例を伺います。
 授業アンケートの声「役に立つ授業だ」


無機化学(秋学期開講:全28回)

 この授業は、工学部生命科学科2年次生向けに開講します。無機化学は、すべての元素とその化合物の構造、性質および反応を対象とし、物質科学(material science)の根幹をなす分野です。この授業では、物質を系統的に理解すると同時に、個々の物質の特性を知り、これを通じて物質科学の基本的な考え方を身につけることを目標とします。講義内容は、物質の構造、各元素の性質、化学結合の様式と性質を説明し、典型元素・遷移元素の各論、生命現象と関わりの深い錯体の立体構造、配位結合、分光化学的性質について解説します。応用として、生体内における微量元素の働き、金属イオンの動態、各種金属酵素の役割など、生体反応と金属元素の関わりについて論じます。教科書:無機化学−その現代的アプローチ−、平尾一之ほか(東京化学同人)

無機化学特論I・V(春・秋学期開講)


 この授業は理学研究科修士課程生向けに開講します。微量金属元素、放射性同位体および有害化学物質等の環境中の物質移動、測定方法および生態系への影響について講述します。特論Tでは、特に最新の外国文献や英字新聞の記事を題材に、環境化学的な視点を身につけることを目標とし、特論Vでは、環境中の物質移動に関わる理論を重点的に取り上げ、数理モデルによる表現能力を身につけることを目標としています。授業は英語テクストをもとにインタラクティブに行われます。

共同ゼミナール(集中講義)

 この授業は、大学院地球環境科学研究科、総合理工学研究科、生物化学研究科の博士課程生向けに集中講義形式で開講します。担当教員は輪番制なので、開講されない年度もあります。2007年度は「住まいの環境化学−シックハウス問題を考える」、2010年度は「環境鑑識学−化学データに基づく環境汚染源の同定」を開講。授業はテレビ会議システムを用いて配信されます。

環境測定演習(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにて開講)

 この授業は、大学院政策・メディア研究科「環境イノベータプログラム」の一環として大学院修士・博士課程制向けに開講します。比較的簡単な環境測定・実験を通して環境データを取得し、環境負荷のメカニズムを理解するとともに、ITC技術の活用も含めた環境データの解析能力を身につけ、環境データや対策手法に対する科学的な見方や考え方を習得します。授業は英語で行われます。